もう晩秋の気配ただよう11月12日、桧原湖畔探勝路を歩いてきました。

スタート時の天候は霧でしたが、12時近くからだんだん曇となり、さらに青空も広がってきました。正午のビジターセンターの外気温は8.5℃と、やや寒くもありますがこの季節らしい天候でした。

この探勝路、全線舗装されていますが、かなりの急な坂もあり、落ち葉が濡れているところは傾斜のため、滑りやすいところもあります。しっかりした滑りにくい靴底のトレッキングシューズ等を履いて歩いてください。

防寒、防風着をしっかり備え、行動食の他、温かい飲み物があると心も体も暖まります。私はアルコールを飛ばし加糖したホット赤ワインを愛飲しています。

さて今回は、南入口の国道459号線の桧原湖畔キャンプ場入口から入り、桧原湖東岸の湖岸線を北上しました。

入口には、見事な枝ぶりの大きなヤナギの木が迎えてくれます。(↓)

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入って間もなく道は二手に分かれますが、舗装された細道の方をたどります。

この道、ところどころ舗装がひび割れ、盛り上がっています。舗装の下の木の根が成長して太くなったためで、結構な凹凸となっています。「ながら散策」ではつまずく心配があります。またグリーンシーズンには自転車の通行も見られますが、十分注意が必要です。(↓)

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まもなく磐梯山の全容が湖水越しに見えてきます。頂上は雲の中でしたが、中腹やや右側の茶色のところは裏磐梯スキー場です。この谷を通って明治の山体崩壊~岩なだれの圧倒的な本流が桧原湖の東岸方向に押し寄せてきたのです。(↓)

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よってこのコース周辺は、岩なだれ堆積物の流れ山地形が最も顕著にみられるところで、流れ山の比高も他地域より高く、湖岸線もとても入り組んでいます。

さて、足元に目をやると、歩道は分厚い落ち葉が敷き詰められていますが、

コース南部はカエデ類の他にハンノキ類やクマシデ類などのあまり紅葉しない葉が目立ちます。(↓)

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沼の水面の様子です。カラマツの落葉と思いきや、より葉が長く2本セットの、アカマツの葉です。常緑樹のアカマツもこの時期、かなり黄葉し落葉するようです。(↓)

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きれいなモミジが残っているところがまだあちこちにあります。

沼と岩とモミジ。裏磐梯らしい風景です。(↓)

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風もおだやかになり、モミジにカメラのファインダーを向けていると、葉が自ら1枚、また1枚と枝を離れ、大地に還っていきます。舞い降りるさまは、さながら少女が舞いながら降りてくるようで、しばし見とれてしまいました。(↓)

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さて、入口から1.5km位進みますと、このコースの名物吊り橋にさしかかります。この橋は、積雪期に向け11月21日に取り外されます。全線通して歩けるのはあと1週間ぐらいです。(↓)

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湖岸の入り江にスゲ類が繁茂して湿原化しつつあるところがありました。

明治の噴火から128年後の今も、植生の遷移が進んでいるのが実感されます。いかり潟と中瀬沼の中間の湖岸沿いあたりです(↓)

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さて、この探勝路も後半になると、ウダイカンバが目立つようになってきます。

シラカバの純白でもない、ダケカンバの樺色でもない、いぶし銀のような色の樹皮です。(↓)

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レイクランドキャンプ場にさしかかるとアスファルトの舗装道は終わりになりますが、まだ見どころがいくつもあります。

まず、湖水にたたずむ巨岩の島。この辺りは、明治の岩なだれの北端も近いのですが、圧倒されます。(↓)

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また、湖岸で船の係留のためにもやいを固定するのに使われていた石を見てビックリ!直径1.2mほどの巨岩が、全体はぷっくり膨らんだよう形で、表面のあちこちにひび割れがあります。(↓)

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マグマの塊が空中に放出され、空気により表面が冷却固化されても内部がまだ熱いため火山ガスの発泡が進み、パン生地の発酵のように内部から膨らんで、表面の冷えた皮がひび割れてガスが逃げてできる、パン皮状火山弾そっくりです!(↓)

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ただこの巨岩、反対側の、写真の左下(↑)にはひび割れがなく、空中で全面が空気に冷やされたわけではないようです。ですのでパン皮状火山弾とは言い切れず、パン皮状火山弾様の噴石とは言えそうです。

また近くには、火山ガスが抜けて穴だらけになった火山岩がかなり散乱しています。火山の噴火口近くで見られる噴出物が、どうして遠い岩なだれ堆積物の末端付近で見られるのでしょうか。明治の磐梯山の山体崩壊のメカニズムに関係がありそうです。もっと別な露頭で調べる必要があります。

ご承知のように、桧原湖南部の湖岸周辺は、岩なだれの堆積物・流れ山地形が多く見られます。その証拠は、長い間に土砂が波で洗い流され、安山岩の溶岩ばかりの巨岩が分布する波打ち際の風景です。これは、流れ山の内部もこのような巨岩がたくさん入っていることを暗示しています。(↓)

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ところが一方、さらにその北の標高865mの旧白樺展望台の西側の湖岸では様相が一変します。黒っぽい巨岩はほぼ姿を消し、黄色っぽい粘土や白っぽい固い岩石が分布する湖岸となります。(↓)

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そして、粘土の層には、たいせき岩の層理面が見える露頭も見られます。(↓)

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そして、崩れやすい泥岩の層を丹念に剥がして探しますと、やっぱりありました! 植物化石です。(↓)

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この化石を含むたいせき岩層は、地質図から察するに、桧原湖北部・東部にかなり分布する桧原層(約1500万年前の湖生層;大陸から日本列島が分離しはじめた頃、日本海になる前の、大陸縁に生じた細長い湖に堆積した地層)の一部と考えられます。

観光地裏磐梯の風景は、信州の高原などと比較すると、一種雑然としております。しかしその雑然は必然が働いた結果なのです。すなわち、大地の変化や火山噴火で大きく変わり、多様化した環境とその変遷のなかで、自ら環境を選択し代を重ねてきた多くの草木が、他の生命との関わりの中で、自らの生命力で生きた結果なのです。偽りのない自然の中の生命やそのたたずまいは、私たち人間にも必ずや心打つものです。こんな裏磐梯、こんな桧原湖畔探勝路を、皆さんも歩いてみてはいかがですか。吊り橋が撤去される前の20日までがチャンスです。

◆ターサン◆

※こちらの自然情報は、PDFファイルでもご覧になれます。ダウンロードはこちら。

※裏磐梯はツキノワグマの生息域です。散策の際には、クマ鈴などでクマに人間の存在を知らせてあげてください。
また、近年、イノシシも裏磐梯に生息し始めました。十分注意しましょう。
目撃したら、ビジターセンターにお知らせください。(電話:0241-32-2850)

※西吾妻スカイバレーは、来春まで冬季通行止めです。
磐梯山ゴールドライン、磐梯吾妻レークライン、磐梯吾妻スカイラインも15日(火)17時以降は冬季通行止めです。
それ以前でも状況によって通行止めになることもあります。
観光道路以外でも路面が凍結することもありますので、事前に情報収集をお願いします。

※11月6日(日)で秋のイベントを終了しましたが、好評につき継続します!
「わくわく散歩」、「スライドトーク」を随時受付しますので、スタッフにご相談ください。