7月14日、ビジターセンター正午の外気温20.7℃で天候は雨でしたが、磐梯山登山道の巡視をしてきました。登山口は八方台、下山口は爆裂火口壁経由の川上口としました。

これから磐梯山登山を計画中の方には、まず、磐梯山には公共のトイレがありませんので携帯トイレを持参することをお勧めします。山頂近くの山小屋にブースがありますので利用できます。また山頂は1816mですが、独立峰でもあり、強風や急な天気の変化はよくありますので、しっかりした装備、特に雨具や登山靴以外にも飲み物、行動食、非常食、防水性も備えた帽子などまで、万全を期して登ってください。また万一にそなえ登山届も忘れずに提出してください。

さて、雨の八方台を出発すると、さっそく大きなぬかるみがありました。(↓)

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防水性のしっかりしたトレッキングシューズでないと厳しい所です。ゴム長靴では脱げてしまうし、岩場でのフィット性が不安です。

また、始めからレインスーツを着て歩きましたが、最近のものはとても軽くて全く蒸れず濡れず、快適そのものでした。

登山道周辺の植物では、花期の終わったものが多く、もう実の季節を迎えていました。季節の進展と自然の摂理を感じます。下はオオカメノキです。(↓)

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次は、マイヅルソウ。赤くなる実ですが、今はこんなしゃれた色です。(↓)

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硫化水素のにおいの火山性ガスが匂ってきたら、旧中の湯です。ここには、ヤマタヌキランが多数風に穂を揺らせていました。火山性の土壌で他の植物が生えないようなところに生えるスゲ科の植物で、磐梯山周辺が日本の分布のほぼ南限になっています。(↓)

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またこのすぐ近くの湿地に、ミツガシワの群落があります。白く美しい花はもう終わっていますが、葉が元気に茂っていました。この植物は、氷河時代の生き残りの植物と言われ、180万年前以降の北半球の氷河時代の地層中にその花粉が化石化してよく残ります。1科1属1種の地球上の貴重な植物です。(↓)

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さらに登りつめ、傾斜がゆるやかになってくると、まもなくお花畑、そして弘法清水となります。山小屋は2軒のうち1軒が営業していました。強風と濃い霧のため、しばし休憩を取りました。(↓)

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天候の回復が見込まれないため、山頂登頂はあきらめ、ちょっと長丁場となる下山に向けてリュックを背負いました。

小屋より上は悪天候でしたが、下は雨もやみ、視界が見えてきました。

銅沼(あかぬま)の近くから2条の火山ガスが吹き出ているのが見えました。(↓)

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大磐梯と櫛ケ峯の鞍部には、ヨーロッパ原産の外来種コウリンタンポポと在来種のミヤマシャジンが仲良く群生している所がありました。(↓)

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バンダイクワガタは花期が終わったようで見られませんでした。

さて、爆裂火口壁の急な崖を下り、爆裂火口底に下ります。

下山口は、次の写真の稜線を左折し降りていきます。直進すると櫛ケ峯方面となりますが、こちらは登山道として整備されておらず、最近遭難騒ぎもあったところです。入らないようにしましょう。(↓)

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急な下りの始めは、つづら折りの坂道、浮石や石車に乗らないよう注意してください。その後は、低い潅木の中の下降ですが、鉄筋のアーチが多数埋めてあり、つかまりながら慎重に下ります。(↓)

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下りきると、石のごろごろしたほぼ平坦な場所に出ます。ここは、1954年の湯桁山(天狗岩の北西にあった絶壁の山)の大崩壊の堆積地で、その後も常に岩崩れがあるため、踏み跡がすぐ消えてしまいます。そうした場所は、トラロープや目じるしの赤いリボンをたよりに進みます。ほぼ20m間隔で目じるしがありますので、見失ったときは、動かず、冷静に周りを探すと見つかります。(↓)

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途中、裏磐梯スキー場への分岐を過ぎ川上口へと下山します。川上口は一層踏み跡が細くなりますので、赤リボンやトラロープ、石のペンキをたよりに注意深く進んでください。(↓)

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途中、右手には櫛ケ峯からの尾根(正確には、いまはなき小磐梯の山体をつくっていた残りの一部)が絶壁として続いております。その断面は、成層火山が本当に成層構造をしていることを示す世界的に貴重な露頭です。火山の断面なんてふつうは見ることができないのですが、磐梯山では、明治の山体崩壊によりそれができるです!(茶色い層が、空気中で酸化され鉄さびの色をした火山レキの層、その上下が縦にひび割れ(節理)の見える安山岩の溶岩の層です。)(↓)

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さて、標高1100m以下になると、ほぼ平坦だった火口底も終わり、山麓への下り斜面となります。登山道の踏み跡は、植生に被われ見えにくい場所もあるので、慎重に歩を進めましょう。また里が近くなると、山の作業道も見られるようになります。これらは、沢の水と同じで、合流して太くなり里にたどり着くので、下山コースだと比較的大丈夫ですが、登る場合は迷いやすいので、慎重に確認して登ってください。また詳しい地図や方位磁石も必要となります。

さあ、あとひと下りですが、迷いやすい道が続きます。秋元湖も見えます。(↓)

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最後の里近くで、見事なオシダの群落がありました。まるで恐竜の時代にタイムスリップしたかのような光景です。(↓)

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この下山コースは、今はなき小磐梯のほぼ中心を通り、270度にも及ぶ火口壁に包まれながら下る豪快で、いかにも磐梯火山らしい山歩きが楽しめるコースです。皆さんもぜひ一度はたどってみてください。

◇ターサン◇

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※裏磐梯はツキノワグマの生息域です。散策の際には、クマ鈴などでクマに人間の存在を知らせてあげてください。
また、近年、イノシシも裏磐梯に生息し始めました。十分注意しましょう。どちらも目撃したら、ビジターセンターにお知らせください。(電話:0241-32-2850)

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